[業界研究]不況に強い?高給?将来性は?さぁ、製薬業界について学ぼう(基本編)

メディカル業界

【業界研究】不況に強い?高給?さあ、 製薬業界について学ぼう(基本編)

Gonです。

製薬業界とは、どのような業界なのでしょうか?

今回は、基本編として製薬業界の概要をお伝えします。想定している読者は、製薬業界について興味はあるけど、まだまだよく知らない初心者です。

既に製薬業界について学ばれている方や、既に製薬業界でお仕事をされている方にとっては物足りない内容だと思います。

製薬業界とは?

製薬業界とは、人気がある業界に一つです。

それは景気に左右されにくい性質からかもしれません。

製薬業界にはMRという職種がありますが、このMRも文系学生にも人気があります。MRは Medical Representativeの略で、日本語では医薬情報担当者のことを指しますが、職種については次回「職種編」でさらに詳しくお伝えします。

製薬業界が何故、人気があるかという理由を考えてみます。

  • 不況に強いこと(人の健康は需要が景気に左右されない)
  • 高給であること(薬は高付加価値品であるため販売単価が高い)

⇒ 年収ラボによれば業界の平均年収は726万円(平成26年)

  • 人の健康に貢献できるためやりがいをもって働ける(社会貢献性が高い)
  • 化学やバイオ分野の知識が役に立つ(大学で学んだことが役に立つ業界)

などが挙げられます。

 

製薬業界の市場(主に医療用医薬品)

国内市場規模は約7兆円であり、世界市場規模となると約100兆円(約9,800億ドル)にものぼります。

このマーケットサイズが世界にはあるため、製薬業界は他の業界と比べてもグローバル化がより進んだ業界です。

上記の数字は少し古いですが、2013年の実績の数字です。2013年当時、日本の市場規模はアメリカに次いで世界第二位でしたが、2016年には中国が日本を抜くのではないかと予測されています。

それでは、製薬業界の特徴をもう一度整理します。

特徴:

  • 不況に強い(医薬品は人の生活にとって欠かせません)
  • 医療用医薬品がほとんどを占める(薬局・ドラッグストアで買える薬のことをOTC医薬品と言います)
  • 規制(レギューレション)が厳しい(薬が人に投与され、命を脅かす副作用が出ては大変です)
  • 比較的高給で年収高め(薬は高付加価値品であり、微量でも単価が高いため)
  • グローバル化が進む(大手を中心に海外売上比率が高いのが特徴です)
  • 受託関連企業が多い(裾野産業が広い)(臨床開発の受託機関をCRO、製造の受託機関をCMOと呼びます)
  • 国の方針・政策に影響する(法改正、薬価改定、医療費削減等の方針・政策は経営に影響を与えます)
  • 後発医薬品のニーズが高まる(ジェネリック医薬品の活用による医療費削減が期待されます)
  • 研究開発費の対売上高比率が高い(薬の開発には莫大なコストがかかるため、研究開発費は他業界と比べても高いです)
  • バイオ医薬品のニーズが高まっている(特に、抗体医薬品の売上が増加しています)
  • 特許切れによる収益への影響が大きく、企業生命を絶たれることも(特に、新薬メーカーが該当します)

※補足 OTC医薬品について

医療用医薬品は病院などで医師の診断によって発行される処方せんに基づいて、薬剤師が調剤して渡される薬を指します。

一方、薬局・ドラッグストアで手に取って購入できる薬はOTC(OVER THE COUNTER)医薬品と呼びます。このOTC医薬品は一般用医薬品とも呼ばれ、医療用医薬品とは区別されます。医療用医薬品が約7兆円の市場規模なのに対してOTC医薬品は約1兆円の市場規模です。

データからも医薬品業界の中心は医療用医薬品であることがよく分かります。ちなみに、このOTC医薬品ですが、まだ記憶に新しい2009年の薬事法(現在の医薬品医療機器等法)改正によって 第一種から第三種に分類されることになりました。

 

新薬が生まれにくい時代

昭和や平成初期と異なり、現在は「新薬が生まれにくい時代」になったと言えます。

かつては、生活習慣病を中心に「血圧を下げる」ような症状を緩和する大衆薬が求められ、製薬企業は経営資源を新薬開発へ集中し、新しい薬を次々と世に生み出してきました。

ところが、かつての新薬も、時が過ぎ去ればその権利(特許)が失効していき、特許が切れた医薬品はジェネリック医薬品として別の製薬企業も販売できるようになります。

同じ有効成分や同じ効き目の薬(ジェネリック医薬品)が世の中に溢れてくると、売上も段々と減っていき、収益を悪化させます。

従って、新薬メーカーは新薬を次から次へと生み出さなければ、生き残れないわけです。

新薬の開発成功率は、何万分の一と言われるほど、成功率が低いものです。世界中の製薬企業がこれまで相当な数の医薬品候補化合物の有効性や安全性を確かめており、薬のもととなる化合物は既に掘りつくされた感があり、新薬の開発成功率は年々高まっていると思います。

そこで、現在の医薬品開発では、主流だった低分子医薬品の開発も進められていますが、より高度で多様化し、かつては存在しなかった範疇の医薬品も次々と生まれています。バイオ医薬品の一つである抗体医薬品の開発が盛んです。バイオ医薬品は、今では世界の医薬品売上トップ10品目のうち7品目を占めるほどです。

また、生命科学の進歩によって、疾病のメカニズムが遺伝子やタンパク質レベルで理解できるようになりましたつまりは、病気の原因分子をターゲットにした分子標的医薬の開発が盛んになっていきます。高度化、多様化すれば製薬企業のなかでも体力がない企業の経営は大変になっていきます。

従って、経営資源をどの領域の病気に集中させるか(がんなのか、認知症なのか、腎なのか…)の選択が重要となっています。

医薬品の開発には莫大の資金と時間が必要となるため、気持ちとしては「どの領域でもいいから新薬が欲しい」というのが本音でしょうが、資源を集中させなければ新薬は生まれません。新薬メーカーには経営資源の集中がより求められています。

先ほどもお伝えしたように、時代とともに低分子医薬品からバイオ医薬品へと開発の中心が移り変わっています。低分子医薬品とは文字通り、有機化合物が中心です。多くは有機合成技術によって創出されます。この創薬技術の進歩・発展も、医薬品開発を加速させ、新しい医薬品を生み出す要因ともなっています。

バイオ医薬品とは、今は抗体医薬品(国産メーカーでは、中外製薬・協和発酵キリン・小野薬品工業など数えるくらいしかない)が中心ですが、他にもペプチド医薬品や、核酸医薬品のような中分子医薬品と呼ばれる分野も注目されています。

今までは、新薬メーカーを中心に自社開発するという目線でお伝えしましたが、現在では他社(特に外国のベンチャー企業など)が開発した有望新薬の開発する権利(ライセンス)や販売する権利を導入し、自社のパイプラインに組み込むことも盛んに行われています

製薬企業でも新薬メーカーを知ろうと思えば、各社のホームページにある「パイプライン」を見てください。パイプラインを見ると、非臨床とか、Phase1、Phase2、Phase3、承認申請、上市と書かれた表になっています。細かい説明は後日するとして、これは簡単に言えば、医薬品の開発状況を示したものです。ここに掲載のある化合物が100%、その企業の新薬となる保証はありませんが、ここに掲載のある化合物以外は開発されていません。

パイプラインをよく見ていくと、備考欄に「〇△製薬から導入」と記載のある化合物がありますが、これこそがライセンス導入した化合物です。

 

製薬業界に属する企業とは

医薬品業界に所属する企業をご紹介します。

製薬業界は、新薬メーカー、後発品メーカー、兼業メーカー、関連企業に分類できると思います。

※ここに記載のない企業を調べるには、後述する業界団体のホームページを閲覧ください。

新薬メーカー

大手が中心です。やはり新薬開発には資金と豊富な人材が必要なのです。

  • 武田薬品工業
  • アステラス製薬
  • 第一三共
  • 中外製薬
  • 大日本住友製薬
  • 田辺三菱製薬
  • 大塚製薬

後発品メーカー

後発品=特許切れの新薬です。ゾロとも呼ばれます。

  • 沢井製薬
  • 東和薬品
  • 日医工
  • ニプロファーマ
  • 明治Seikaファルマ

 

兼業メーカー

化学系の会社が事業拡大で医薬品に乗り出すケースが多いです。

  • 旭化成ファルマ
  • 帝人
  • 日本化薬
  • 富士フイルム
  • ヤクルト本社

 

関連企業

  • シミック
  • イーピーエス
  • 武州製薬
  • エスアールエル

他にも、多くの製薬企業や関連企業があります。

業界団体

どのような企業があるかを確認するには業界団体のホームページを利用すると便利です。

医薬品業界と関連がある企業というのは知らないだけで意外と多いです。それは、製品に「会社名」が現れてこないためだと思います。その際、業界団体のホームページは企業を探すうえでは役に立つと思います

また、国内企業ばかりをピックアップしましたが、この他にもグローバルな外資系企業も日本国内で医薬ビジネスを展開しています。日本の市場規模は7兆円であるため、外資系企業からしても魅力なのです。

さらに、近年、再生医療ブームの到来によって、従来では考えられなかった企業の参入も続いています(川崎重工、ニコン、東京エレクトロンなど)。

もしも、興味を持った企業があれば、まずはホームページで確認してみましょう。

 

製薬業界を取り巻く各問題は知っておくべき

製薬業界を取り巻く各問題についてです。

2010年問題

今から6年前、製薬業界が直面したのが2010年問題です。

世界の製薬業界において、年間売り上げ1000億円クラスの医薬品が2010年前後に一斉に特許切れを迎える

(出典:Wikipedia

新薬メーカーが新薬を出した場合、最長25年間は特許で守られます。しかし、いつかは切れるのが特許です。いざ特許切れとなればジェネリック医薬品(バイオ医薬品ならばバイオシミラー)が続々と販売され、収益を圧迫します。

ジェネリック医薬品というのは、新薬ほど開発費がかかりません。

何故なら、肝心な医薬品の有効成分(原薬ともいう)が既に分かっているからです。同じ有効成分を生み出すことさえできれば、効能は同じです。また、ジェネリック医薬品を販売するメーカーは、新薬に対抗して飲みやすさや効きの早さなど、薬としての付加価値を付与します。ここで差別化を図って、より多くの患者さんに使ってもらいたいと考えています。ジュネリック医薬品メーカーの研究開発の中心は、新しい化合物を生み出すよりかは、薬としての価値を高める(製剤化)が中心となります。

そして、ジェネリック医薬品の最大の特徴は、薬価が安いこと!新薬と同じ効能なのに、安い!わけです。

2010年問題では、大型新薬と呼ばれるブロックバスターが相次いで特許切れとなり、企業の収益を圧迫しました。

何故、世界の名だたる企業が特許切れで騒いだのか?

最大の原因は「この20年間、莫大な売り上げにつながる画期的な新薬がほとんど開発されていない」ことにある。年間10億ドル以上を売り上げる「ブロックバスター」と言われる薬の多くは、80~90年代に開発され、それ以降、ほとんど生まれていないのだ。

(出典:ダイヤモンドオンライン

新薬が生まれにくい時代でも述べたように、現代において画期的な新薬はなかなか生まれず、新薬メーカーは苦戦を強いられているのが現状です

 

2015年問題

2013年から2016年にかけて、またもや大型新薬の特許切れを迎えました。

立て続けに業界を揺るがしたこれらの問題ですが、ここから言えることは新薬メーカーは常に新薬を開発し、上市していかなければならないということです。新薬の開発こそが、企業生命そのものと言えます。

ところが、現在は医薬品の開発における成功率はぐんと低くなっています。巨額な研究開発費を投じても新薬の創出が難しいために、現在においてはオープン・イノベーションであったり、ベンチャー企業との連携や企業買収等で活路を見出す企業が増えています。

一つの薬を開発するに、10~20年、500億~1000億円がかかると言われています。製薬業界もビジネスであるわけですから、投資分をペイできなければなりません。売れる薬である必要があります。

また、希少疾患の治療薬のことをオーファンドラッグといいますが、これらの疾患をターゲットとし、開発を進める企業も存在します。

2025年問題

次は、2025年問題です。

この問題は、医療費による財政圧迫によるものです。下記を読んで頂くと、医薬品業界に押し寄せる影響が軽微どころじゃ済まされないことがよく分かっていただけると思います。

2025年に日本の国民皆保険(公的医療保険)制度は大きな転換点を迎えます。この年には、日本の人口動態中の最大集団である団塊の世代(1947~49年生まれ)の全員が75歳以上、つまり「後期高齢者」となります。厚生労働省の推計によると、医療給付費は2012年度(予算ベース)の35・1兆円から2025年には1・5倍の54・0兆円に、介護給付費は2012年度の8・1兆円から2025年度には2・4倍の19・8兆円にまで増加し、国民皆保険の持続も危ぶまれています。

(出典:京町薬局

2016年の現在ですら、医療費の財政圧迫が問題として取り沙汰されているわけですが、2025年にはその医療費が1.5倍に膨れ上がるというのです。恐ろしいですが、これが現実なのです。

この2025年問題をどう乗り越えるのか、各企業の経営手腕が問われるところです。

業界再編や淘汰など、これからの製薬業界は今までのように楽観視できない状況にあるのではないでしょうか。

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Gon
キャリアクエスト運営責任者。 20代のうちに転職を3回経験し、現在4社目。自身がキャリアに悩み、転職を繰り返した経験をベースに、同じようにキャリアへ悩む20代、30代に向けてキャリア開発支援、転職支援を行いたいと考えている。

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